軍艦島を世界遺産にする会とは

        
 
                                                                                      
 
 
 
 
   3年前から上陸解禁になって約27万人以上の方々が来られました。
 廃墟の島軍艦島の響きで来られた方も居ますが、故郷「端島」としてこられた方もいます。
 また建築のすばらしさに魅了された方々も来られます。
    私も故郷として10年前から保存活動をやってきましたが、近年この島から聞こえるメッセージが わかるような気がしています。
 上陸した方々から聞こえてくる声には、戦後の日本の姿、福島、仙台の今の姿・・・・
    今の軍艦島は緑が増え、海もきれいな島に変貌しています。
 資源がなくなって人々が去った島は、皮肉なことに地球上で一番地球に優しい場所になりつつ あります。
 近代化の名の元に人類は果たして何を地球にやってきたのでしょうか。
 自分たちの繁栄のために資源を消費し自然を絶え間なく壊してきました。
     今回の地震によって我々は自然の危うさの中にかろうじて存在している生物であることを認識したはずです。
我々に地球を支配できないことはわかっていることです。
我々は謙虚にこのことを受け止めながら地球との共存を考えはじめなければならないのだと思います。
   今、軍艦島に上陸すれば「人が消えた音」が聞こえます。
それが私たちの未来にならないことを・・・軍艦島はメッセージとして伝えています。
軍艦島は未来からの警告のメッセージを発している場所かも知れません。
   近代化遺産であると同時に、この島が「廃墟の終わった島」ではなく、我々の未来を考える為の「世界遺産」でもあるのかもしれません。
今、私たちが考えなければならないのは歴史の中の惨禍と未来へ向けての子孫繁栄への道筋をつけていくことではないでしょうか?
耳を澄ませば過去の人々のつらい思いも聞こえてくるでしょう。それを我々は地球存続に向け、全人類の理解と協力のもと歴史を創新していく
時代を考えなければならないのかもしれません。
 近代化の礎となった産業遺産でもあるけれど、歴史の中で真実を書き加え、更なる未来の歴史をみんなで見つめたいものです。
  世界遺産たる場所であればすべてを含めた歴史的背景をきちんとしなければならないのです。
 世界遺産にすることだけが目的ではなく、私たちはそういったことを伝えるための活動をしています。
                                                                               2012年6月記
 
 
                                                   NPO軍艦島を世界遺産にする会 理事長   坂本 道徳